Blog · The Odyssey - Part 3: The Monsters of the Sea

『オデュッセイア』第3話の英語を読む(3)怪物スキュラと太陽神の牛

2026.10.24

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はじめに

名作ダイジェスト『オデュッセイア』第3話の英語を読むシリーズ、最終回です。前回は、帆柱に縛りつけられたオデュッセウスが、セイレーンの歌を聞きながら島の横を通り過ぎる場面を読みました。

今回は、六つの首を持つ怪物スキュラの崖から、太陽神の牛をめぐる悲劇、そして女神カリュプソの島までの場面の英語を読みます。

1. he was afraid they would stop rowing ―「部下たちがこぐのをやめてしまうのを恐れた」

They did not see Scylla. Odysseus had not told them about her, because he was afraid they would stop rowing and hide.

意味: 彼らはスキュラに気づかなかった。オデュッセウスは、スキュラのことを部下に話していなかった。話せば、部下たちがこぐのをやめて隠れてしまうのではないかと恐れたからだ

be afraid ( that ) +主語+動詞は「〜ではないかと心配する、恐れる」。ここでは that が省略されています。they would stop の would は、過去の時点から見た「〜するだろう」です。

stop rowing は「こぐのをやめる」。stop のあとに動詞の ing 形が来ると「〜するのをやめる」、to 動詞が来ると「〜するために立ち止まる」と意味が変わるので注意しましょう。

had not told と過去完了になっているのは、スキュラの崖に来る「前に」話していなかった、ということを示すためです。キルケーは「スキュラは部下を6人さらうが、カリュブディスに近づけば全員を失う」と教えていました。オデュッセウスは6人の犠牲を知りながら、それを部下に黙っていたのです。

使い方の例:

  • I'm afraid I'll be late.(遅れてしまいそうで心配だ)
  • He stopped smoking last year.(彼は去年たばこをやめた)
  • She stopped to smoke.(彼女はたばこを吸うために立ち止まった)※to 動詞

2. the saddest thing Odysseus saw in all his travels ―「すべての旅の中でいちばん悲しい光景」

The men called out Odysseus's name for the last time. It was the saddest thing Odysseus saw in all his travels.

意味: 男たちは、最後にもう一度オデュッセウスの名前を叫んだ。それは、オデュッセウスが旅の中で見たもののうち、いちばん悲しい光景だった

崖から降りてきた六つの首が、6人の部下をさらって宙へ持ち上げます。

for the last time は「最後に、これを最後として」。「最後の1回」なので、もう二度とないことを表します。

the saddest thing Odysseus saw は、thing のあとに that が省略された形で、「オデュッセウスが見たもののうち、いちばん悲しいもの」。最上級+名詞のあとに「〜した中で」という説明を続ける、よく使われる形です。in all his travels は「すべての旅の中で」。巨人の洞窟も、死者の国も経験してきたオデュッセウスにとって、これが最もつらい場面だったと語り手は言い切っています。

使い方の例:

  • I saw him for the last time at the station.(駅で会ったのが、彼を見た最後だった)
  • He is the kindest person I know.(彼は私が知っている中でいちばん親切な人だ)
  • It was the hardest decision I've ever made.(今までで一番難しい決断だった)

3. made them promise not to touch the cattle ―「牛に手を出さないと約束させた」

Odysseus made them promise not to touch the cattle. But that night a strong wind began to blow, and it did not stop for a whole month.

意味: オデュッセウスは、牛に手を出さないと部下たちに約束させた。ところがその夜、強い風が吹き始め、まる1か月やまなかった

make +人+動詞の原形は「人に〜させる」。made them promise で「彼らに約束させた」です。promise のあとの not to touch は「触らないこと」。to 動詞を打ち消すときは、not を to の前に置きます。

cattle は「牛(の群れ)」。cow(雌牛)とちがって、cattle は複数として扱い、a cattle や cattles とは言いません。

for a whole month は「まる1か月のあいだ」。whole は「まるごとの、全部の」です。風が1か月もやまず、食べ物が尽きて、部下たちは追いつめられていきます。

使い方の例:

  • My father made me wash the car.(父は私に車を洗わせた)
  • I promised not to tell anyone.(誰にも言わないと約束した)
  • It rained for a whole week.(まる1週間、雨が降った)

4. It is terrible to die of hunger. ―「飢え死にするのはひどいことだ」

"It is terrible to die of hunger," he said. "Let's kill the best cows. We will say sorry to the gods later."

When Odysseus woke up, he smelled meat cooking. It was too late.

意味: 「飢え死にするのは、ひどいことだ」と彼は言った。「いちばんいい牛を殺そう。神々にはあとで謝ればいい」。オデュッセウスが目を覚ますと、肉の焼けるにおいがした。もう手遅れだった

オデュッセウスが祈りに行って眠っている間に、部下のエウリュロコスが仲間をそそのかします。

It is ... to 動詞は「〜するのは…だ」。It が to die of hunger を指しています。die of ~ は「〜(病気や飢えなど)で死ぬ」。

We will say sorry to the gods later. は、「あとで謝ればいい」という軽い言い方です。第2話の風の袋と同じく、部下たちはオデュッセウスが眠っているすきに、取り返しのつかないことをしてしまいます。

smelled meat cooking は、smell +もの+動詞の ing 形で「〜が…しているにおいがする」。第2話で読んだ see people making fires(人々が火をたいているのが見える)と同じ形で、感覚を表す動詞はこのように使えます。そして、It was too late.(もう手遅れだった)。予言のとおり、このあと嵐で船は砕け、オデュッセウス以外の全員が海に沈みます。

使い方の例:

  • It is important to sleep well.(よく眠ることは大切だ)
  • Many people died of the disease.(多くの人がその病気で亡くなった)
  • I can smell something burning.(何かが焦げているにおいがする)

おわりに

ただひとり生き残ったオデュッセウスは、女神カリュプソの島に流れ着きます。第3話は、Every day, he sat on the beach, looked out at the sea, and cried for Ithaca.(毎日、彼は浜辺に座って海を眺め、イタケーを想って泣いた)という文で終わります。cry for ~ は「〜を求めて泣く、〜を想って泣く」。7年もの間、オデュッセウスは島を出られませんでした。

これまでの記事:(1)死者の国 / (2)セイレーンの歌

第4話「故郷へ」は、10月29日(木)に公開します。

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