Blog · The Odyssey - Part 4: Home at Last

『オデュッセイア』第4話の英語を読む(2)パイアケス人の国

2026.10.30

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はじめに

名作ダイジェスト『オデュッセイア』第4話の英語を読むシリーズ、2回目です。前回は、カリュプソの島を出たオデュッセウスが、ポセイドンの嵐で船を失い、見知らぬ浜に打ち上げられる場面を読みました。

そこは、海を愛する民パイアケス人の国でした。今回は、王女ナウシカアとの出会いから、王宮でオデュッセウスがついに名を明かし、故郷イタケーに帰り着くまでの英語を読みます。

1. the girls ran away screaming ―「娘たちは悲鳴をあげて逃げていった」

He came out of the woods, dirty and wild, and the girls ran away screaming. Only Nausicaa stayed.

意味: 彼は森から出てきた。汚れていて、荒々しい姿だった。娘たちは悲鳴をあげて逃げていった。ナウシカアだけがその場に残った

川で洗濯を終えた王女ナウシカアと友人たちは、ボール遊びをしていました。その声で、オデュッセウスが目を覚まします。

dirty and wild は、カンマで挟んで「汚れて、荒々しい(姿で)」と、出てきたときのオデュッセウスの様子を付け足しています。葉っぱにくるまって眠っていた、嵐のあとの男です。娘たちが逃げるのも無理はありません。

ran away screaming は、動詞のあとに ing 形を置いて「〜しながら」と、同時にしていることを表します。「悲鳴をあげながら逃げた」です。

そして Only Nausicaa stayed.(ナウシカアだけが残った)。only が主語の前に付くと「〜だけが」。わずか3語の文で、王女の勇気が伝わります。

使い方の例:

  • The children came home singing.(子どもたちは歌いながら帰ってきた)
  • She sat there crying.(彼女はそこに座って泣いていた)
  • Only my sister knew the answer.(姉だけが答えを知っていた)

2. even though they did not know his name ―「名前も知らないのに」

The king and queen welcomed the stranger, even though they did not know his name.

意味: 王と王妃は、名前も知らないその見知らぬ男を、温かく迎えた

ナウシカアから服をもらい、王宮への道を教わったオデュッセウスは、王と王妃のもとを訪ねます。

even though は「〜であるのに、〜にもかかわらず」。though(〜だけれど)に even が付いて、意外さが強まっています。「名前さえ知らないのに」迎え入れる、というパイアケス人のもてなしの心が表れています。

stranger は「見知らぬ人、よそ者」。strange(奇妙な)とつながりのある語ですが、「変な人」という意味ではありません。

古代ギリシャでは、旅人を手厚くもてなすことは、神々が守る大切な決まりでした。第1話の巨人キュクロプスが、訪ねてきたオデュッセウスの部下たちを食べてしまったのとは、まったく逆の姿です。

使い方の例:

  • She went to work even though she had a cold.(彼女は風邪をひいていたのに仕事に行った)
  • Even though it was raining, we played soccer.(雨が降っていたけれど、サッカーをした)
  • Don't talk to strangers.(知らない人と話してはいけません)

3. why does this song make you so sad? ―「なぜこの歌が、そんなにもあなたを悲しませるのか」

The king noticed. "Stranger," he said, "why does this song make you so sad? Tell us who you are."

意味: 王はそれに気づいた。「旅のお方、なぜこの歌が、そんなにもあなたを悲しませるのだ? あなたが誰なのか教えてくれ」と王は言った

宴の席で、盲目の歌い手がトロイア戦争を歌います。木馬と、それを考えた賢い男の歌でした。その「賢い男」とは、オデュッセウス自身のことです。彼は顔を覆って泣いてしまいます。

make +人+形容詞は「人を〜(の状態)にする」。this song make you so sad で「この歌があなたをそんなに悲しくさせる」。日本語では「なぜそんなに悲しいのか」と人を主語にしますが、英語では「歌」を主語にして、悲しみの原因をはっきりさせています。第3話で読んだ my sadness killed me と同じ発想です。

Tell us who you are. の who you are は、疑問文の Who are you? が文の中に入った形(間接疑問)です。文の中に入ると、疑問文の語順ではなく、主語+動詞の順になります。

使い方の例:

  • This music makes me happy.(この音楽を聞くと幸せな気持ちになる)
  • The news made her angry.(その知らせに彼女は怒った)
  • Do you know who he is?(彼が誰だか知っていますか?)

4. he was home at last ―「ついに故郷に帰ったのだ」

Odysseus kissed the ground. After twenty years, he was home at last.

意味: オデュッセウスは地面に口づけをした。20年ぶりに、彼はついに故郷に帰ったのだ

名を明かして身の上を語り終えたオデュッセウスは、パイアケス人の船でイタケーへ送り届けられます。眠ったまま浜に降ろされた彼は、目覚めても自分がどこにいるのか分かりません。若者に姿を変えたアテナが現れ、"You are home, Odysseus," "This is Ithaca." と告げます。

home はここでは「家」という名詞ではなく、「家に、故郷に」という副詞です。そのため、to を付けずに be home(家にいる)、go home(家に帰る)と言います。go to home とは言わないので注意しましょう。

at last は前回も読んだ「ついに、とうとう」。第4話の英語タイトル Home at Last は、まさにこの一文から取られています。

After twenty years は「20年たって、20年ぶりに」。トロイア戦争の10年と、帰り道の10年。第1話に The trip home would take ten more years.(家への旅には、さらに10年かかることになる)とあった、その10年が終わったのです。

使い方の例:

  • I'm home!(ただいま!)
  • What time will you be home?(何時に家に帰ってくるの?)
  • After ten years, we met again.(10年ぶりに、私たちは再会した)

おわりに

次回は第4話の最終回です。乞食の姿に変えられたオデュッセウスが、忠実な召使いエウマイオスの小屋で、息子テレマコスと再会する場面を読みます。前回の記事はこちらから読めます。

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