Blog · The Odyssey - Part 4: Home at Last

『オデュッセイア』第4話の英語を読む(1)カリュプソの島と嵐

2026.10.29

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はじめに

名作ダイジェスト『オデュッセイア』の英語を読むシリーズ、第4話に入ります。第3話では、オデュッセウスが死者の国、セイレーン、怪物スキュラを越えたものの、太陽神の牛に手を出した部下たちをすべて失い、女神カリュプソの島で7年を過ごすところまでを読みました。

第4話「故郷へ」では、ついに神々が動きます。今回から3回に分けて、第4話の英語を物語の流れに沿って読んでいきます。1回目は、カリュプソの島を出て、ポセイドンの嵐に襲われる場面です。

1. Odysseus has suffered enough. ―「オデュッセウスはもう十分に苦しみました」

"Father," she said, "Odysseus has suffered enough. Let him go home."

意味: 「父上、オデュッセウスはもう十分に苦しみました。彼を家に帰してあげてください」と彼女は言った

オリュンポス山で、女神アテナが父ゼウスに頼む場面です。アテナは、オデュッセウスの賢さを愛していました。

has suffered は現在完了です。トロイア戦争から20年近く、「今までずっと苦しんできて、今もその状態にある」ことを表しています。suffer は「苦しむ、つらい目にあう」。enough は動詞のあとに置いて「十分に」。has suffered enough で「もう十分に苦しんだ(これ以上は必要ない)」という訴えになります。

Let him go home. は、let +人+動詞の原形で「人に〜させてあげる」。第1話で読んだ let と同じく、「許す、自由にさせる」という意味です。このあとゼウスがカリュプソに送る伝言も、"Let Odysseus go."(オデュッセウスを行かせよ)という短い命令でした。

使い方の例:

  • I've waited long enough.(もう十分に待った)
  • You've worked enough today. Go to bed.(今日はもう十分働いた。寝なさい)
  • Let me help you.(手伝わせてください)

2. he built a small boat with his own hands ―「自分の手で小さな船を造った」

Calypso was unhappy, but she had to obey. She gave Odysseus tools, and he built a small boat with his own hands.

意味: カリュプソは不満だったが、従うしかなかった。彼女はオデュッセウスに道具を与え、彼は自分の手で小さな船を造った

had to は have to の過去形で、「〜しなければならなかった」。ここでは、ゼウスの命令なので逆らえない、という気持ちが込められています。obey は「従う」。

with one's own hands は「自分自身の手で」。own は「自分自身の」と所有を強める言葉です。部下も船も失ったオデュッセウスは、もう誰の力も借りられません。ひとりで木を切り、ひとりで船を組み立てたことが、この短い言い方から伝わります。

使い方の例:

  • I had to leave early yesterday.(昨日は早く帰らなければならなかった)
  • She made this cake with her own hands.(彼女はこのケーキを自分の手で作った)
  • I saw it with my own eyes.(この目で見たんだ)

3. while I was away ―「わしの留守のあいだに」

"So the gods have helped Odysseus while I was away!" Poseidon said angrily. "Well, he is not home yet."

意味: 「なるほど、わしの留守のあいだに、神々がオデュッセウスを助けたというわけか!」とポセイドンは怒って言った。「だが、やつはまだ家に着いてはおらんぞ」

17日間の航海の末、18日目に陸地が見えたちょうどそのとき、海の神ポセイドンが戻ってきます。第4話の冒頭に At that time, Poseidon was far away, so he could not stop them.(そのころ、ポセイドンは遠くに出かけていたので、彼らを止められなかった)とありました。神々は、ポセイドンの留守をねらったのです。

while は「〜しているあいだに」。away は「(家や持ち場を)離れて、留守で」。while I was away で「わしが留守にしているあいだに」となります。

文頭の So は「だから」ではなく、「なるほど、そういうことか」と事情に気づいたときの言い方です。Well も「よく」ではなく、「さて、まあ」と次の言葉を切り出す合図です。not ... yet は「まだ〜ない」。he is not home yet の home は副詞で、「家に(いる)」という意味です。

使い方の例:

  • Someone called while you were out.(あなたが出かけているあいだに電話があった)
  • So you're the new teacher!(なるほど、あなたが新しい先生ですね!)
  • He's not here yet.(彼はまだ来ていない)

4. covered himself with dry leaves ―「乾いた葉で体を覆った」

At last, the waves threw him onto a rocky beach. He crawled into the woods, covered himself with dry leaves, and fell into a deep sleep.

意味: とうとう、波は彼を岩だらけの浜に打ち上げた。彼ははって森に入り、乾いた葉で体を覆うと、深い眠りに落ちた

ポセイドンの嵐で船は砕け、オデュッセウスは2日2晩、暗い海を泳ぎ続けます。

At last は「ついに、とうとう」。長く待ったあとにようやく、という気持ちが入ります。threw は throw(投げる)の過去形で、波が彼を「投げ出した」と表しています。

crawl は「はう」。もう歩く力も残っていないのです。

cover A with B は「A を B で覆う」。目的語が自分自身なので、himself(彼自身)を使います。英語では、主語と目的語が同じ人のときは -self の形を使います。

fall into a deep sleep は「深い眠りに落ちる」。fall asleep(眠りに落ちる)よりも、ぐっすり眠りこむ様子が伝わる言い方です。

使い方の例:

  • At last, the rain stopped.(ついに雨がやんだ)
  • The baby crawled across the room.(赤ちゃんが部屋をはって横切った)
  • She covered the table with a white cloth.(彼女はテーブルを白い布で覆った)
  • He fell into a deep sleep.(彼は深い眠りに落ちた)

おわりに

次回は、王女ナウシカアとの出会いと、パイアケス人の王宮でオデュッセウスがついに名を明かす場面の英語を読みます。LITIM では、本文の単語をタップすると意味を確かめながら読み進められます。今回の表現がどんな流れで出てくるのか、ぜひ本文で確かめてみてください。

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