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Blog · The Tale of Benjamin Bunny

『ベンジャミン・バニーのおはなし』の英語を読む(1)いとこを訪ねて

2026.10.12

はじめに

ビアトリクス・ポターの『ベンジャミン・バニーのおはなし』(The Tale of Benjamin Bunny, 1904年)は、『ピーターラビットのおはなし』の続編です。前作でマクレガーさんの畑に上着と靴を置いてきてしまったピーター。いとこのベンジャミンは、それを取り戻しに行こうと誘います。

絵本なので単語はやさしいのですが、100年以上前のイギリス英語なので、今とは意味の違う言葉がところどころに出てきます。今週は3回に分けて、物語の流れに沿って表現を読んでいきます。1回目は、ベンジャミンがピーターを訪ねていく場面です。

1. call upon his relations ―「親戚を訪ねる」

As soon as they had passed, little Benjamin Bunny slid down into the road, and set off—with a hop, skip, and a jump—to call upon his relations, who lived in the wood at the back of Mr. McGregor's garden.

意味: 馬車が通り過ぎるとすぐ、ベンジャミン・バニーは道にすべり降り、ぴょんぴょん跳ねながら、マクレガーさんの畑の裏の森に住む親戚を訪ねに出かけた

relations は「関係」ではなく「親戚」です。今は relatives と言うことが多いのですが、イギリスでは今も relations を「親戚」の意味で使います。「関係を訪ねる」と読むと意味が通りません。

call upon ... は「〜を訪問する」という、少し改まった古い言い方です。今なら visit や、話し言葉の drop in on ... を使います。同じ文の set off は「出発する」。with a hop, skip, and a jump(ホップ、スキップ、ジャンプで)は、うさぎらしい弾む足取りを、そのまま言葉にしています。

使い方の例:

  • We are going to visit our relations in Osaka.(大阪の親戚を訪ねる予定だ)※ relatives でも同じ意味
  • I called upon my old teacher last week.(先週、昔の先生を訪ねた)※改まった言い方
  • She set off early in the morning.(彼女は朝早く出発した)

2. earned her living by knitting ―「編み物で生計を立てていた」

Old Mrs. Rabbit was a widow; she earned her living by knitting rabbit-wool mittens and muffatees (I once bought a pair at a bazaar).

意味: ピーターのお母さんは未亡人で、うさぎの毛のミトンや手首用の防寒具を編んで暮らしを立てていた(私も一度、バザーで一組買ったことがある)

earn one's living は「生計を立てる、暮らしを立てる」。by ...ing で「〜することで」と手段を表します。living は「生きること」ではなく、ここでは「生活の糧、暮らし」という名詞です。

かっこの中の (I once bought a pair at a bazaar)(私も一度、バザーで一組買ったことがある)は、語り手が突然顔を出す一言です。うさぎの編んだ手袋を人間の「私」が買ったという、ポターらしい茶目っ気のある書き方です。このすぐあとにも rabbit-tobacco (which is what we call lavender)(うさぎたばこ、つまり私たちがラベンダーと呼んでいるもの)という説明が出てきます。

使い方の例:

  • He earns his living as a taxi driver.(彼はタクシー運転手をして生計を立てている)
  • She earned her living by teaching piano.(彼女はピアノを教えて暮らしを立てていた)
  • It's hard to earn a living as a writer.(作家として食べていくのは難しい)

3. He looked poorly ―「具合が悪そうだった」

Peter was sitting by himself. He looked poorly, and was dressed in a red cotton pocket-handkerchief.

意味: ピーターはひとりで座っていた。具合が悪そうで、赤い木綿のハンカチを体に巻いていた

poorly は、ふつうは「下手に、まずく」という副詞です(He sings poorly. 彼は歌が下手だ)。ところが look poorly や feel poorly の形で使うと、「体調が悪い」という意味の形容詞になります。主にイギリス英語の言い方です。「下手に見えた」と読むと、話がおかしくなってしまいます。

前作で服をなくしたピーターは、ハンカチを体に巻いてしょんぼりしています。そこへ来たベンジャミンが、ひそひそ声で "who has got your clothes?"(きみの服、誰が持ってるの?)とたずねます。has got は have と同じ意味で、イギリス英語でよく使う形です。

使い方の例:

  • I'm feeling a bit poorly today.(今日は少し体調が悪い)※イギリス英語
  • The baby looked poorly, so we called the doctor.(赤ちゃんの具合が悪そうだったので、医者を呼んだ)
  • He did poorly on the test.(彼はテストの出来が悪かった)※副詞の poorly

4. certainly for the day ―「今日は一日じゅう帰ってこない」

Little Benjamin sat down beside his cousin and assured him that Mr. McGregor had gone out in a gig, and Mrs. McGregor also; and certainly for the day, because she was wearing her best bonnet.

意味: ベンジャミンはいとこの横に座り、マクレガーさんは馬車で出かけたし、奥さんも一緒だと請け合った。しかも今日一日は確実に帰ってこない。奥さんがいちばんいい帽子をかぶっていたから、と

for the day は「その日一日」。gone out ... for the day で、「一日がかりで出かけている」という意味になります。

ベンジャミンの推理がかわいらしいところです。奥さんがよそ行きの帽子(best bonnet)をかぶっていた。だから近所へちょっと出かけたのではなく、遠くまで一日がかりで出かけたにちがいない、というわけです。assure は「(相手を安心させるように)請け合う、保証する」。

ところがピーターの返事は、Peter said he hoped that it would rain.(ピーターは、雨が降ればいいのにと言った)。雨が降れば、マクレガー夫妻が早く帰ってくるかもしれません。畑に行きたくない気持ちが、この一文によく出ています。

使い方の例:

  • The office is closed for the day.(本日の営業は終了しました)
  • We went to the beach for the day.(日帰りで海に行った)
  • I assure you, everything will be fine.(大丈夫、全部うまくいくから)

おわりに

次回は、ふたりがマクレガーさんの畑にもぐり込んでからの場面の英語を読みます。前作『ピーターラビットのおはなし』の英語表現は、こちらの記事で紹介しています。今回の表現がどんな流れで出てくるのか、ぜひ本文で確かめてみてください。

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