Blog · The Tale of Peter Rabbit
『ピーターラビットのおはなし』で覚えておきたい英語表現5選
はじめに
ビアトリクス・ポターの『ピーターラビットのおはなし』(1902年)は、いたずらな子うさぎのピーターが、入ってはいけないマクレガーさんの畑に忍び込み、命からがら逃げ帰る物語です。子ども向けの短いお話ですが、英語は意外なほど品があり、今の英語ではあまり見かけない言い回しも出てきます。
今回は物語の流れに沿って、覚えておくと役に立つ表現を5つ取り上げます。
1. had an accident ―「事故にあった」(遠回しな言い方)
'your Father had an accident there; he was put in a pie by Mrs. McGregor.'
意味: お父さんはあそこで事故にあったのよ。マクレガーさんの奥さんにパイにされてしまったの
have an accident は、ふつうは「事故にあう」。ここでは「殺された」ことを、子どもに向けてやわらかく言い換えています。ただし、すぐあとで「パイにされた」とはっきり言ってしまうところに、ポターらしいとぼけたユーモアがあります。
お母さんうさぎが出かける前に、子どもたちに畑へ行かないよう言い聞かせる場面です。この一言が、物語全体の緊張感を生み出しています。ピーターが畑で出会う危険は、決して冗談ではないのです。
使い方の例:
- My brother had an accident on his bike yesterday.(弟は昨日、自転車で事故にあった)
- The puppy had an accident on the carpet.(子犬がじゅうたんの上で粗相をした)※小さな子どもやペットの「おもらし」を遠回しに言う使い方
- His grandfather passed away last year.(彼の祖父は去年亡くなった)※同じく遠回しな言い方の pass away
2. get into mischief ―「いたずらをする」
'Now run along, and don't get into mischief. I am going out.'
意味: さあ、行っておいで。いたずらをしてはだめよ。お母さんは出かけてきます
mischief は「(子どもの)いたずら、悪さ」。get into mischief で「いたずらをする」「悪さをしでかす」という意味になります。get into trouble(面倒なことになる)と同じ形です。run along は「さあ行きなさい」と子どもを送り出すときの決まり文句です。
姉妹のフロプシー、モプシー、カトンテールは言いつけを守って、ブラックベリー摘みに出かけます。ところがピーターだけは、まっすぐマクレガーさんの畑へ向かい、門の下をくぐり抜けてしまいます。
使い方の例:
- Keep an eye on the kids so they don't get into mischief.(子どもたちがいたずらをしないように見ていてね)
- The cat is always getting into mischief.(その猫はいつもいたずらばかりしている)
- He got into trouble for being late again.(彼はまた遅刻して、叱られた)※同じ形の get into trouble
3. whom should he meet but ―「なんと〜に出くわした」
But round the end of a cucumber frame, whom should he meet but Mr. McGregor!
意味: ところが、キュウリの苗床の角を曲がったところで、なんとマクレガーさんに出くわしたのです
Who (whom) should+主語+動詞+but _? は、「〜したのは誰だと思う? なんと_だった」と、意外な出会いに驚く気持ちを表す形です。but は「〜以外の」という意味で、直訳すると「〜以外の誰に会うべきだったか」。ここでの should は義務ではなく、「驚いたことに」という気持ちを表しています。
レタスにインゲン、ラディッシュと食べ進め、少し気分が悪くなったピーターは、パセリを探しに行きます。その先で出くわしたのが、よりによってマクレガーさん本人でした。物語が一気に動き出す、緊張の一文です。
使い方の例:
- As I was leaving the shop, who should I see but my old teacher!(店を出ようとしたら、なんと昔の先生にばったり会った)
- Who should walk in but the boss himself!(入ってきたのは、なんと社長本人だった)
- I opened the door, and who should be standing there but my brother!(ドアを開けたら、なんと兄が立っていた)
4. gave himself up for lost ―「もうだめだと観念した」
Peter gave himself up for lost, and shed big tears; ...
意味: ピーターはもう助からないと観念して、大粒の涙をこぼした
give oneself up for lost は「自分はもう助からないとあきらめる」という古い言い方です。give up+人+for dead(〜を死んだものとあきらめる)と同じ形です。
逃げ回るうちに靴を片方ずつなくし、四本足で走ってスピードを上げたピーター。ところが、スグリの木にかけた網に、上着の真鍮のボタンが引っかかってしまいます。泣いているピーターを見つけたスズメたちは、「がんばれ」と励まします。ピーターは上着を脱ぎ捨てて、からくも逃げ出すのです。
使い方の例:
- Lost in the snow, the climber gave himself up for lost.(雪の中で道に迷い、登山者はもうだめだと観念した)
- The sailors had been given up for dead, but they came home safely.(船乗りたちは死んだものとあきらめられていたが、無事に帰ってきた)
- Don't give up hope yet.(まだ希望を捨てないで)
5. what he had done with ―「〜をどうしたのか」
His mother was busy cooking; she wondered what he had done with his clothes.
意味: お母さんは料理で忙しかったので、ピーターが服をどうしたのか不思議に思っただけだった
do with ... は、what と組み合わせて「〜をどうしたのか」「〜をどこへやったのか」という意味になります。What have you done with my keys?(私の鍵をどこへやったの?)のように、物のありかを問いただすときによく使われます。
ようやく家に帰り着いたピーターは、疲れきって砂の上に倒れ込みます。上着と靴をなくしたのは、この2週間でもう2度目。そのなくした上着と靴は、マクレガーさんの畑で、鳥を追い払うかかしに使われていました。お母さんは、そんなことは知るよしもありません。その夜ピーターは具合が悪くなり、カモミールティーを飲まされます。姉妹たちはパンと牛乳とブラックベリーの夕ごはんでした。
使い方の例:
- What have you done with my keys?(私の鍵をどこへやったの?)
- I don't know what I did with my glasses.(めがねをどこに置いたかわからない)
- What did you do with all the money?(あのお金を全部どうしたの?)
おわりに
『ピーターラビットのおはなし』の英語は短くやさしい文でできていますが、had an accident のとぼけた言い換えや、whom should he meet but の驚きの表現など、味わいのある言い回しが散りばめられています。LITIM では、本文の単語をタップすると意味を確かめながら読み進められます。ぜひ本文で、ピーターの大冒険を英語で追いかけてみてください。