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Blog · The Truth About Pyecraft

『パイクラフトの真実』で覚えておきたい英語表現5選

2026.09.28

はじめに

H・G・ウェルズの『パイクラフトの真実』(1903年)は、ロンドンの紳士クラブでいちばん太った男パイクラフトが、語り手の「私」に家伝の秘薬をせがむ物語です。「私」の曾祖母はインド出身で、奇妙な秘薬のレシピを残していました。パイクラフトが望んだのは「体重を減らす薬」。ところが薬の効き目は、彼の想像とはまったく違う形で現れます。

『タイム・マシン』などの SF で知られるウェルズですが、この作品はユーモアたっぷりの短編です。今回は物語の流れに沿って、覚えておくと役に立つ表現を5つ取り上げます。

1. tell on him ―「彼のことを言いつける」

Confound his suspicion! If I wanted to tell on him I should have told long ago.

意味: 疑われるなんてまったく心外だ。あいつのことをばらすつもりなら、とっくの昔にばらしている

tell on +人 は「〜のことを告げ口する」「〜の秘密をばらす」という口語表現です。子どもが Mom, he hit me! と言いつけるような場面でよく使われます。tell だけでも「告げ口する」という意味になり、最後の Who would believe me if I did tell?(言ったところで誰が信じる?)の tell もその意味です。

物語は、クラブの喫煙室で「私」が、少し離れた席に座るパイクラフトを気にしながら語り出すところから始まります。パイクラフトはすがるような、それでいて疑うような目で「私」を見ています。二人のあいだにどんな秘密があるのかは、まだ明かされません。

使い方の例:

  • Please don't tell on me!(お願いだから、言いつけないで)
  • My little sister always tells on me to our parents.(妹はいつも、私のことを両親に言いつける)
  • If you tell, I'll never speak to you again.(ばらしたら、もう口をきかないからね)※tell だけでも同じ意味

2. the cat's out of the bag ―「秘密がばれた」

"Well," he said, "now the cat's out of the bag, I'll admit, yes, it is so. I had it—"

意味: まあ、ばれてしまったからには認めますよ。ええ、そのとおりです

the cat is out of the bag は「秘密がばれた」という決まった言い方です。その由来には、市場で子豚と偽って袋に猫を入れて売る詐欺が、袋から猫が出てきてばれた、という話がよく挙げられます。秘密をうっかり漏らすことは、let the cat out of the bag と言います。

パイクラフトはここ1週間、会うたびに「私」の家に伝わる秘薬のことをほのめかしていました。「私」に問い詰められて、とうとう観念して認めるのがこの台詞です。ここから、パイクラフトのしつこいおねだりが始まります。

使い方の例:

  • Well, the cat's out of the bag now. Everyone knows about the party.(まあ、もうばれちゃったね。みんなパーティーのことを知ってるよ)
  • Who let the cat out of the bag?(誰が秘密をばらしたの?)
  • I almost let the cat out of the bag about her surprise gift.(彼女へのサプライズプレゼントのことを、うっかり言いそうになった)

3. goes without saying ―「言うまでもない」

"That," I said, "goes without saying in all my poor dear great-grandmother's recipes. When condition or quality is not specified you must get the worst."

意味: それは曾祖母のレシピでは言うまでもないことだ。状態や質が書かれていないときは、いちばんひどいものを手に入れなければならない

it goes without saying (that) ... は「〜は言うまでもない」「〜は当然だ」という決まった言い方です。直訳すると「それは言わなくても通じる」。ここでは主語が That になっています。

根負けした「私」がレシピを訳して渡してから2週間。パイクラフトは少しもやせず、「効かないじゃないか」と訴えてきます。レシピを見直した「私」が「卵は腐っていたか」と尋ねると、パイクラフトは「腐っているべきだったのか」と聞き返します。そこで「私」が答えるのがこの台詞です。ガラガラヘビの毒まで入った恐ろしいレシピでしたが、パイクラフトは材料を本当に全部そろえていたのでした。

使い方の例:

  • It goes without saying that safety comes first.(安全が第一なのは言うまでもない)
  • It goes without saying that you're welcome to stay with us.(もちろん、うちに泊まってくれてかまわないよ)
  • Needless to say, we were all very tired.(言うまでもなく、みんなくたくただった)※似た言い方の needless to say

4. brought upon himself ―「自ら招いた」

I pointed out to him that this was a trouble he had brought upon himself, and that it had almost an air of poetical justice.

意味: これは自分で招いた災難で、どこか因果応報のようなところがある、と私は指摘した

bring ... upon (on) oneself は「(災難などを)自ら招く」という意味です。自業自得を表すときによく使われます。poetical justice(今は poetic justice がふつう)は「因果応報、詩的正義」。物語のように、悪い行いにふさわしい報いが下ることを言います。

秘薬を飲んだパイクラフトは、確かに体重を失いました。ところが、体の大きさは少しも変わらないまま、天井にふわふわと浮かんでしまったのです。慌てて駆けつけた「私」は、ひとしきり罵られたあと、冷静にこう諭します。「減らしたかったのは脂肪(fat)なのに、体重(weight)と言ったのが悪い」。

使い方の例:

  • You brought this trouble on yourself.(この問題は自業自得だよ)
  • He brought shame upon his family.(彼は家族の顔に泥を塗った)
  • The thief was caught by the dog he had tried to poison. It was poetic justice.(泥棒は、毒を盛ろうとした犬につかまった。まさに因果応報だ)

5. got the better of me ―「〜に負けてしまった」

Then, you know, my fatal ingenuity got the better of me.

意味: そして、例の困った工夫好きの性分に、私はまたも負けてしまった

get the better of +人 は「〜に勝つ、〜を打ち負かす」という意味です。好奇心や怒りなどの感情が主語になると、「〜に負けて、つい〜してしまう」という意味になります。Curiosity got the better of me.(好奇心に負けてしまった)はその典型です。

「私」は2日がかりで、パイクラフトが天井で暮らせるように部屋を改造しました。ベッドを天井に取り付け、電灯の向きを変え、呼び鈴のひもを手の届くところへ。パイクラフトがもうクラブに来ないと思うと、楽しくて仕方がありませんでした。ところがある晩、「私」はつい思いついたことを口にしてしまいます。「鉛の下着を着ればいい」。この一言で、パイクラフトは再びクラブに戻ってくることになったのです。

使い方の例:

  • Curiosity got the better of me, and I opened the box.(好奇心に負けて、箱を開けてしまった)
  • Don't let your anger get the better of you.(怒りに振り回されないようにね)
  • She finally got the better of her rival in the final match.(彼女は決勝で、ついにライバルに勝った)

おわりに

『パイクラフトの真実』の語り手は、パイクラフトの悪口を言いながらも、どこか放っておけない、ちょっとずるい人物です。今回の表現も、彼の皮肉やぼやきの中で使われています。LITIM では、本文の単語をタップすると意味を確かめながら読み進められます。ウェルズのユーモアを、ぜひ本文で味わってみてください。

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