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Blog · The Frog-Prince

『蛙の王子』で読み違えやすい英語表現5選

2026.09.28

はじめに

グリム兄弟の『蛙の王子』(日本では『かえるの王さま』の題でも知られています)は、泉に金のまりを落としたお姫様が、拾ってくれた蛙と「何でも言うことを聞く」と約束してしまう物語です。LITIM で読めるのは、1823年に出版されたエドガー・テイラーによる最初期の英訳です。キスで魔法が解けるディズニー版とも、蛙を壁に投げつけるグリムの原典とも違い、蛙が三晩続けてお姫様の枕で眠ることで魔法が解けます。

200年前の英訳なので、今の英語とは少し違う古風な言い回しが出てきます。今回は物語の流れに沿って、読み違えやすい表現を5つ取り上げます。

1. I want not ―「私は〜はいらない」(古い否定の形)

The frog said, 'I want not your pearls, and jewels, and fine clothes; ...'

意味: 真珠も宝石も、きれいな服もいりません

今の英語なら I don't want ... と、do を使って否定します。ところが古い英語では、do を使わずに動詞のすぐあとに not を置いて否定するのがふつうでした。I know not(私は知らない)、Fear not(恐れるな)なども同じ形です。今でも、昔話や聖書、ことわざなどで目にすることがあります。

まりを失って泣くお姫様は、「まりが戻るなら、服も宝石も、持っているものすべてをあげる」と言います。ところが蛙が求めたのは、そんな宝物ではありませんでした。「僕を好きになって、一緒に暮らし、金のお皿から食べさせて、ベッドで眠らせてくれるなら」。ここから物語が始まります。

使い方の例:

  • I know not what tomorrow will bring.(明日が何をもたらすかは、私にはわからない)※古風な言い方
  • Fear not, for I am with you.(恐れるな、私があなたとともにいる)※聖書風の言い方
  • I don't want your money.(あなたのお金はいらない)※今の英語での言い方

2. sadly frightened ―「ひどくおびえた」

At this sight she was sadly frightened, and shutting the door as fast as she could came back to her seat.

意味: それを見て、お姫様はひどくおびえ、大急ぎでドアを閉めて席に戻った

sadly は今の英語では「悲しそうに」「残念ながら」という意味ですが、古い英語では「ひどく、非常に」と程度を強める意味でも使われました。ここで「悲しそうにおびえた」と読むと、場面がちぐはぐになってしまいます。

まりを取り戻したお姫様は、蛙のことなどすっかり忘れて城に走って帰りました。ところが翌日、夕食の席につくと、大理石の階段をピタピタと上ってくる音がします。ドアの外にいたのは、あの蛙でした。「開けておくれ、お姫様。泉のほとりで交わした約束を忘れないで」と歌う蛙に、お姫様は震え上がります。

使い方の例:

  • He was sadly mistaken.(彼はひどい思い違いをしていた)※今も残る「ひどく」の意味
  • The house was sadly in need of repair.(その家は、修理がどうしても必要な状態だった)
  • Sadly, the shop has closed.(残念ながら、その店は閉店した)※今の英語でふつうの意味

3. given your word ―「約束した」

Then the king said to the young princess, 'As you have given your word you must keep it; so go and let him in.'

意味: 約束したのなら、守らねばならない。行って中に入れてあげなさい

give one's word は「約束する、誓う」、keep one's word は「約束を守る」という決まった言い方です。word(言葉)一語で「約束」を表します。反対に「約束を破る」は break one's word です。

お姫様から事情を聞いた王様は、きっぱりとこう言います。蛙が泉から出てこられるはずがないと高をくくって、軽い気持ちでした約束でした。それでも、口にした約束は約束。この王様の一言が、物語を結末へと導いていきます。

使い方の例:

  • I give you my word that I won't tell anyone.(誰にも言わないと約束するよ)
  • She always keeps her word.(彼女はいつも約束を守る)
  • He broke his word and never came back.(彼は約束を破り、二度と戻らなかった)

4. that I may ―「〜できるように」

As soon as she had done this, the frog said, 'Put your plate nearer to me, that I may eat out of it.'

意味: 私が食べられるように、お皿をもっと近くに寄せてください

that+主語+may ... は「〜できるように」と目的を表す古い言い方です。今の英語なら so that I can eat out of it と言うところです。so that の so を省いた形と考えると、わかりやすいでしょう。

仕方なく蛙を部屋に入れたお姫様に、蛙は次々と注文をつけます。「椅子に乗せて」「お皿を近くに」「疲れたから二階のベッドへ」。丁寧な言葉づかいで遠慮なく約束を果たさせる蛙と、しぶしぶ従うお姫様のやりとりに、どこかユーモアがあります。

使い方の例:

  • Speak louder, that we may all hear you.(みんなに聞こえるように、もっと大きな声で話してください)※古風な言い方
  • We left early so that we could catch the first train.(始発に乗れるように、早めに出発した)※今の英語での言い方
  • I'll write it down so that I don't forget.(忘れないように書き留めておこう)

5. was not long in saying ―「すぐに言った」

The young princess, you may be sure, was not long in saying 'Yes' to all this; ...

意味: 言うまでもなく、お姫様はこの申し出に、すぐさま「はい」と答えた

be not long in ...ing は、直訳すると「〜するのに長くかからなかった」。つまり「すぐに〜した」「ためらわずに〜した」という意味です。you may be sure は「言うまでもなく、きっと」という、語り手から読者への軽い呼びかけです。

三晩が過ぎた朝、お姫様が目を覚ますと、蛙の代わりに美しい王子が立っていました。意地悪な妖精に蛙に変えられていたこと、お姫様の力で魔法が解けたことを告げ、王子は結婚を申し込みます。あれほど蛙を嫌がっていたお姫様の、あまりに素早い返事。語り手のちょっとした皮肉が感じられる一文です。

使い方の例:

  • The children were not long in finding the hidden candy.(子どもたちは、隠されたお菓子をすぐに見つけた)
  • It was not long before he fell asleep.(ほどなく彼は眠ってしまった)※似た言い方の It was not long before ...
  • She wasn't long in making new friends at school.(彼女は学校ですぐに新しい友達をつくった)

おわりに

『蛙の王子』のテイラー訳は、200年前の英語で書かれていますが、文の骨組みは今の英語と大きく変わりません。I want not や that I may のような古い形を一度知っておけば、昔話や古典を読むときにぐっと楽になります。LITIM では、本文の単語をタップすると意味を確かめながら読み進められます。ぜひ本文で、古風な英語のリズムを味わってみてください。

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